ひとりぽっちで笑わせて
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ダメ人間がダメなまま「ああこれはいかん、ああ、ああああ」ともがくのだけれど「ここまでドツボに嵌まったらもう戻れないのと違うか」との思いはこれまでの経緯を考えると否定できない妥当な推論。第一「ああああ」っていい加減なドラクエの主人公かよ等と話を逸らせば逸らす程に肚の底に蟠る鉛の如き焦燥感は増す一方。
それもこれも思っている事が言葉に直結しないこの性がいかんのだ。「あの娘は何をしているのだろう」と思っても「何してるの?」と訊けない。そもそも大根を洗っている事は見れば分かる。にも関わらずわざわざ訊ねるのはその娘への興味の為である。と云う事は、なぜあなたに興味を抱いているのかを説明してやるのが理性ある者の務めの一つであろう。しかし正直にあなたとちゃらちゃら楽しい思いをしたいので声を掛けました、などと言っては本末顛倒なので何か体のいい、それでいて行間の意図の通じる言葉を探さねばならぬ。だが振り返ってみると私が持っている彼女に関する情報はあまりに少なく、どのような言葉が結構なのやら皆目見当がつかない。当たり障りの少ない、目の前にある事で済ませた方が良さそうだ。天気とか。大根とか。そうだ、大根だ。大根を話柄にすればよいのだ。大根と言えば、うむ、つよきす(アニメ版)だ。中身はともかくエンディングが好きだったなあ。おくびょうでーちいさなーほんとーのわたーしー♪って俺か。俺の事かっ。あ、あれっ、洗い終わっている。こっちにくる。どうしよう。そもそも何をこんなに慌てているのだっけ。そうだ、彼女と世間話をして仲良くなってホテルニュー越谷に行くのだった。しかし思い直せばけったいな衝動ではないか。彼女に対して失礼ではないか。もっとこう、崇高な精神的繋がりを求めねばいかんのではないか。そう、愛だ。アガペーだ。アガペーとアカンベーって似てるな。
外から見れば呆然と立ち尽くすばかりの私の横を、彼女は胡散臭げな目をして通り過ぎる。濡れた土の匂いに千載一遇のチャンスがすり抜けてゆく事に気付く。半秒のロス。振り返る動作をしつつも「この場は退いて再起を図る可きか」と躊躇って一秒。いやいやそんな事ではいつまで経ってもと自身を鼓舞し了えて息を吸った(また一秒)瞬間、これまでに考えていた事の全てが、近衛素奈緒の背中が、水の滴る大根の白が、襷を掛けた小林克也の笑顔が、蛇が、にゅうめんが、アガンベンが、もはや他人の物としか思えない衝動が、頭の中をごうごうと逆流して混じり合ってぐずぐずに崩れて散り、どれだ。なんでだ。そして私の口から出た言葉は、
「よっぴー・イン・USA」
意味が分からない。
彼女はびくりと身を硬くしてこちらを見ようとして、やめて、走り去ってしまった。こっちだって泣きたいのだが、多分顔は笑っているはずである。仲良くしたいんだから笑顔は重要だよね。そうだなあ、今日の夕食は肉味噌素麺にしようか。
休日の昼にゼリーを作っている。せっかくだからおいしいものにしたい。好きな物を入れよう。桃、葡萄、みかん。ホワイトチョコ。卵白をホイップしたクリーム、レモンピール、胡椒、アニスリキュール、うどん。いつの間にか洗面器大に膨れ上がったゼリーが冷えたのは日が暮れた頃で、さあさあ食べるぞ喰ってやると皿に返した瞬間にゼリーは自重を支え切れずに崩壊。
何がいけなかったのか。うどんか。チョコレートを入れてババロアみたくしようとしたからか。おいしい物を食べたいと思ったから、いや、ゼリーではなくて寒天にすればよかったのだ。寒天ならこんなぐずぐずにはならなかったのに。休日だからって、少し早く起きたからって浮かれくさった結果がこれなのだ。おお。
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今更知ったこの歌、少佐に影響してるのかなあ。
【MAD】子供達を責めないで (私は子供が嫌いだ) 苺ましまろ
ぶれぶれに次ぐ飛び道具にすべく買おうと思って調べた所、本棚の後段で下駄扱いされてるCDに入ってた。知合いのレコード屋さんが店を畳むか らと「好きなの持って行っていいよ」とか言われて坂上二郎『学校の先生』が目当てで貰ったのだった。しかし当時はCDプレイヤーなど持っておらず、結局十 年以上一度も聴かずにいたんだけど、こんな形でケースを開ける事になるとは。それにしても、『学校の先生』と『子供達を責めないで』が同じアルバムに入ってる というのには…。
途中で「諸君」が「私達」に変わるのは興奮してきたって事で。
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